外国人エンジニア採用~メリットから定着まで完全解説~

外国人エンジニア採用のすべてがわかる!

IT人材不足の不足が深刻な問題になっています。採用担当者の方もエンジニアの採用が難しくなっていると感じているのではないでしょうか? その打開案として注目されている外国人エンジニアの採用。
今回は、「どうして今外国人エンジニア採用に取り組むべきなのか」や「メリット」、「雇用方法」など、外国人エンジニア採用に関する情報を徹底的に解説いたします。

目次
  1. 外国人エンジニアの採用になぜ今取り組むべきなのか?
  2. 外国人エンジニアを採用する4つのメリット
  3. 外国人エンジニアの雇用方法
  4. 外国人エンジニア採用の障壁
  5. 定着・活躍にむけて
  6. 支援実績
  7. まとめ

1.外国人エンジニアの採用になぜ今取り組むべきなのか?

2018年に経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」において、2030年にはITエンジニア人材は、最大80万人不足すると予測されています。

”IT人材需給に関する調査結果"

また、「STEM」と呼ばれる数学や科学分野の卒業者数はアメリカの10分の1。DXの担い手を十分に育成できていないといわれています。
デジタル庁の有識者会議においても、「IT人材の不足を補うには移民の受入が不可欠」という提言もございました。

そのため、エンジニアの需要は増えていくにも関わらず、国内の人材供給は今がピークとなっています。

STEM系卒業生の輩出予想では、2030年の高学歴者数(STEM系人財含む)は中国とインドの2か国で世界の50%を占めるという見込みが公表されています。
日本はといいますと、アメリカとロシアとともにネガティブトレンドになっており、わずか3%という予測がでています。
STEM系人材の総数

そのような中、世界に目をむけてみると、約2,100万人のIT人材(ILO調べ)がおり、デジタル庁の有識者会議においても、「不足するIT人材は移民で受入を」という提言があるように、外国人エンジニアの採用を政府が推奨しています。

世界全体のエンジニア数

2.外国人エンジニアを採用する4つのメリット

では、日本政府も推奨している外国人エンジニアの採用。どのようなメリットがあるのでしょうか?

① 採用対象マーケットが100倍以上拡大

先ほども述べた通り、ILOの調査によると世界にはITエンジニアは約2,100万人います。そのうちの40%をアメリカ、中国、インドの3か国で占めています。

日本語を話せるIT人材に限定せず、英語IT人材を狙うことにより、採用対象の母集団を各段に広げることができます。
英語人材を採用後に日本語教育を行うことで、日本語のできる外国人エンジニア人材を獲得することもできます。

日本語教育については、採用後に個別でオンラインで授業を行うパターンと、大学在籍中に採用活動を行い、大学の授業と平行して日本語授業を組み混むパターンがございます。
後者については、「『海外の優秀人材を言葉の壁を乗り越えて採用する方法とは?」でご確認いただけます。

外国人エンジニアの内訳

②世界最先端の技術、情報にアクセスしやすくなる

インターネットビジネスの最先端はアメリカを中心とした海外です。
そのため、論文などの情報は基本的に英語で発表・更新され続けています。英語を活用できる人がいることにより、最新の技術や情報にアクセスしやすくなります。


③すでに働いているエンジニアチームメンバーのマインドセット変化

海外でのエンジニア経験や学業の経験や、異なる文化、価値観をもつ人材がチームに加わることから、このような新たなメンバーの存在により、チームに刺激が生まれます。
また、多様性という観点だけでなく、年功序列という概念が比較的少ない外国籍エンジニアは、ハングリー精神が強く、自身のスキルの向上に貪欲で会社・チームへの貢献を期待できます。


④新卒採用ブランディングの変化

多様性を積極的に取り入れている会社としての認知度の向上や、世界最高峰の理系大学の一つと称されるインド工科大学出身者など海外諸外国の優秀なエンジニアと働けるチャンスをプラスに捉える学生は多くいらっしゃいます。
これらのことから、以前では採用出来なかった、または、リーチ出来なかった日本人学生の採用が出来るようになります。


3.外国人エンジニアの雇用方法

上記でメリットがわかったものの、外国人エンジニアを採用する場合はどのようにすればいいのかという疑問がでてくるのではないでしょうか。
外国人エンジニアを採用する場合は、大きくわけて2つの方法がございます。

①日本国内で雇用するケース

現時点では、外国籍エンジニアを採用する企業の95%はこの国内で雇用し、リモート勤務もしくは出社して勤務いただくというケースです。

外国人エンジニアにとって、日本で生活することに対するメリット(文化や治安など)があり、為替相場で円が強い時代は日本就職を希望する方も 多くいらっしゃいました。円が強い時代に比べて減少はしているものの、現在も日本就職を希望する方は多くいらっしゃいます。

また、企業側としては、チームマネジメントのやりやすさ、セキュリティやデータの管理などを考えるとやはり日本で雇用する方が安心感があります。
雇用形態は、基本的には正社員としての雇用契約が一般的ですが、契約社員という形態で採用する事例もございます。

募集〜入社までの流れも基本的には日本人の採用の場合と変わらないですが、外国人材ならではの特徴として、就労VISA申請の手続きがあります。
(*手続きについては、「外国人採用 - 採用決定後に必要な手続き -」にてご確認いただけます。)

②海外に居住したまま雇用するケース

経営陣が英語堪能で、グローバルコミュニケーションが可能なスタートアップが先駆的に始めている取り組みでございます。
企業としては、国によっては日本に呼ぶよりも人件費を抑えることができるというメリットがございます。

また、コロナの影響によりリモートワークがより主流となったこともあり、中長期的には、日本に来ることの価値が相対的に低下しているため、 海外に居住しながら働ける仕組みは2020年代に間違いなく拡がってきております。

その際、海外現地法人がない場合は雇用・労務面はどうすればいいのかという悩みをお伺いいたします。上記を解決出来るサービスとして、EOR(Employer of Record)という仕組みが世界的に拡大傾向でございます。

この雇用方法では、世界のタレントプールから即戦力となる人財の採用から業務開始までを最短1~2週間で行うことができ、組織の拡張や撤退も容易に行うことができます。
また、リロケーションでかかる住居費や旅費、拠点設立にかかる時間・会計監査等の運用コストが不要になり、費用負担を減らすことが可能です。

またEORの活用における1番のポイントは、ダイバーシティな組織を構築し、新たな価値やサービスの創造につながることです。

拠点をもたない雇用では、企業・労働者ともにメリットがございます。
企業のメリットとしては、海外に拠点を設立することに比べて、費用を安く抑えることができるという点です。
また、労働者側は、ワークライフバランスや柔軟なスケジュール、子育てとの両立ができるなど様々なメリットがございます。

このように企業側・労働者側にもメリットがある雇用方法は、主流になりつつあります。

4.外国人エンジニア採用の障壁

外国人エンジニア採用を行う際のメリットや具体的な雇用方法についてお伝えしましたが、一方で、障壁もございます。

しかし、 事前に障壁を把握しておくことで、問題の発生を未然に防止することができます。

①言語障壁と情報の平等性

仕事上のコミュニケーションだけではなく、人事・労務に関する書類やツール等も言語対応していく必要する必要がございます。

このような言語対応が進まないことによる情報の平等性に差が生じ、外国籍社員の不満に繋がる可能性がございます。
外国人就労によるトラブルを回避するためにも、外国人労働者の人権に配慮した取組みは必要になってくるものとして理解しておくことが大切です。


②文化・価値観、考え方の違いによる一時的なマネジメントの負荷増加

日本人にとっての当たり前が、世界の当たり前とは限りません。多様な人財が集まることで、先ほどメリットでお伝えした組織の活性化というメリットもある反面、特にプロダクトマネージャー、ミドルマネージャーのマネジメントは一時的に負荷が増えてしまいます。
しかし、多様な人財が活躍出来る組織こそが企業の競争力に繋がっていくことを考えると、ここは障壁というよりも乗り越えるべき壁と認識していただき、よりよい組織文化の構築を考えていただきたい点でございます。


③入社時に発生する各種サポート

先ほど少し触れた在留資格(在留VISA)の取得支援、海外居住者であれば来日時のフライト費用負担、入社受入サポート、生活支援金の支給など、日本人採用においては必要のない工数や費用が発生します。
こちらに関しては、行政書士事務所などへアウトソーシングでも対応できるため、弊社含めエージェント企業にご相談していただくと良いかと思います。


6. 外国人エンジニアが定着・活躍するために必要なこと

定着に向けた鍵は、「評価・制度」と「コミュニケーション」です。

①実力主義

日本でよく見られる「年功序列型」の考え方は外国人エンジニアに浸透していません。そのため、適正な能力評価が必要です。
海外では、学生時代の経験やスキルセットにより、新入社員でもいきなり年収が高いことがあり得るため、新たな評価・制度の構築を検討していくことも必要になってまいります。

②日本の文化を「当たり前」だと思わない関わり方

「郷に入っては郷に従え」という考え方もございますが、日本の文化を「当たり前」とせず、外国人でも馴染みやすい環境づくりを積極的に行う必要がございます。
海外の優秀なエンジニアが働きやすい環境は、生活のサポートが充実していることや、タイムスケジュールが自由で意思決定までのスピードが速いこと、ルールに縛られずに新しいことに取り組めることが例としてあげられます。一人一人に合わせることはできませんが、異なる観点から考えることも大切です。

また、来日した外国人エンジニアを含めた外国籍の方が混乱することが、実際日本人の明文化されない「空気を読む」習慣です。
日本人は「みんな同じ前提を共有している」という意識になってしまいがちですが、前提が異なることを意識することが大切です。

③コミュニケーションのサポートが充実

組織全体でお互いをおもいやり、「やさしい日本語」「やさしい英語」でのコミュニケーションを心掛けることが大切です。
コミュニケーションレベルを相手に合わせる意識を組織内に浸透させる。また可能なら通訳、翻訳専門のスタッフを採用し、会議などをサポートできるとよりよいと思います。
「やさしい日本語」については、出入国管理庁と文化庁は、在留支援のためのやさしい日本語ガイドラインを作成しており、Youtubeや資料でご確認いただけます。

7. 外国人エンジニア採用での支援実績

最後に弊社でご支援した事例をご紹介いたします。

【事例:A】
業界:情報通信/アプリ開発
従業員数:1000名以上
所在地:首都圏
採用ニーズ:自社の成長戦略として「AI」をコア技術に位置付けており、新卒採用を中心としたエンジニア採用
採用実績:採用募集でインドや中国など、視野を世界に広げて実施。高度なIT技術・知識を持つ人材と出会う機会が増加し、2018年10月入社では新卒50名のうち44名、2019年4月入社では新卒50名のうち7名が外国籍。2018年はインドの名門大学「インド工科大学(以下IIT)」出身者が32人と、全体の6割以上を占め、中国、台湾、シンガポール、イギリス、ベルギーなど様々な国から内定者を獲得。
現在、新卒採用は基本的にはインターンシップを経ての採用手法に変化。 一方で、中途のエンジニア採用においても人材紹介をベースで候補者をご紹介。結果、外国籍エンジニアの比率が増加し、約20ヶ国以上から多様な人材を採用。


【事例:B】
業界︓情報通信 / アプリ開発
従業員数︓約30名
所在地︓⾸都圏
採⽤ニーズ︓国内では採⽤出来ないAI・ML領域に強いエンジニアの採⽤
採⽤実績︓インドIITからエンジニア3名採⽤
ご⽀援⽅法︓採⽤ニーズに応える為、インド最⾼峰の理⼯系⼤学であるIIT(Indian Institutes of Technology)採⽤を実施。⾃社単独での難易度が⾼い中、当社の⻑年に渡るIIT採⽤実績やネットワークを⽣かし、デリー校、ボンベイ校共にDay3以内の⾯接⽇程を確保。4名に内定を出し、3名が承諾。


【事例:C】
業界︓情報通信/ システム開発
従業員数︓約80名
所在地︓中四国地⽅
採⽤ニーズ︓JLPT(⽇本語能⼒試験)N2レベル以上のITエンジニア採⽤
採⽤実績︓システムエンジニア2名採⽤
ご⽀援⽅法︓Connect Jobで応募⺟集団形成。100名弱の応募者から、 ⽇本語能⼒やITスキルで事前スクリーニングを通過した⼈材を10数名、 ベトナム・ハノイにて採⽤⾯接会を実施。3名に内定が出て、うち2名が内定を 承諾。内定承諾後も定期的にフォローし無事に2名とも⼊社。

実際に外国人エンジニアを含め、外国人採用を行うために弊社サービスご利用いただいている「サイボウズ株式会社様」のインタビュー記事に実際に選考中に気を付けたポイントがございます。

8. まとめ

政府の政策等でも取り上げられているエンジニア不足。
しかし、外国人エンジニア採用に視野を広げることで採用の母集団を広げることができます。
一時的な障壁はあるものの、外国人エンジニアを採用することにより、現在の組織の活性化、採用プランディングの向上など様々なメリットがあります。

上記の情報の他にも各国のエンジニアのマーケットの比較情報等ございますので、詳細が気になるという方は下記よりお問い合わせください!