外国人採用における面接のポイント

【外国人採用】 定着編

外国人材の採用を行っている企業様とお話をさせて頂いていると、「早期離職してしまう」「定着が難しい」という声を多くいただきます。

実際に外国人材の離職率は日本人より高いという統計もありますが、
今後外国人材がより定着し、長く活躍していただくために企業として何ができるか、
今回は外国人材が定着するためには?と題して、「外国人の働く意識について」「企業側ができる短期施策・長期施策」をご紹介します!

  1. 外国人材の「働く」に対する意識
  2. 短期施策(異文化理解)
  3. 長期施策(制度の変更)
  4. 実際の声
  5. まとめ

1.外国人材の「働く」に対する意識

近年、雇用の流動化が大きく注目されています。

2022年8月末に厚生労働省が勤務地や職務内容を企業に明示するよう労働基準法を改正する方針であることが示される等、
日本では旧来からある年功序列や終身雇用、総合職採用などの「メンバーシップ型」から、職に対して人を雇用する「ジョブ型」採用が注目されています。

既に海外ではジョブ型採用が主流であり、その結果スキルアップに対して人々の意識が高く、転職に対してもプラスなイメージを持っている傾向にあります。

実際独立行政法人 労働政策研究・研修機構が2018年に発表した 「国際労働比較」では、各国の転職に対する意識が異なることが示されています。
勤続年数の平均を見ると、日本や西欧諸国は10年を超えてきているものの、北欧諸国は8-9年、アメリカや韓国は4-5年となっています。

そのため外国人採用を行う際は、長く働いてほしい日本企業とキャリアアップを図るために転職を意識する外国人材、互いの歩みよりが必要となっています。

2.短期施策(異文化理解)

外国人の働き方に対する意識が分かったところで、外国人材定着のために実際に企業側はどのようなことができるのかお伝えいたします。

文部科学省が発表した「国際教育の意義と今後の在り方」によると、「異文化や異なる文化をもつ人々を受容し、共生することのできる態度・能力」、いわゆる異文化理解力が日本の初等教育から必要だと説いています。外国人を採用するにあたって、まずは様々な文化、価値観、そして違いがあることを認識することが大切です。

①ローコンテクスト/ハイコンテクスト
その中でも、仕事の基本となる「コミュニケーション」の取り方の違いをご紹介します。 コミュニケーションは、ローコンテクスト文化とハイコンテクスト文化の大きく2つに分類できます。

ローコンテクスト文化とは、文脈や行間に頼らず言葉を重視して伝えることから、前提の知識や理解がなくとも分かるシンプルなやり取りを表しています。
一方ハイコンテクスト文化とは、文脈や状況に応じたコミュニケーションを取るため、暗黙の了解など空気を読むことが一般的です。

日本は世界で一番ハイコンテクスト文化であるため、他の文化を持つ人からすると分かりづらく、伝わりづらい傾向にあると言われています。

そのため、違う文化を持つ人と働く時は、特にローコンテクストとハイコンテクストを使い分けることが求められます。
例えば、「分からない」「難しいかもしれない」「大丈夫」という表現を、「はい」「いいえ」に置き換えて明確に意思表示を行うことが挙げられます。

②宗教理解
日本には古来より、海や山などの自然や祖先などありとあらゆるものに神様が宿ると考える多神教が根付いており、キリスト教やイスラム教、ヒンドゥー教などの一神教とはまた違った考えを神様に対して持っています。
宗教によっては、特定の行動に対する制限や信仰を示す儀式などが決まっている場合もあります。

ここでは、特に注意すべきポイントが多い宗教2つをご紹介します。

●イスラム教
インドネシアやパキスタンが代表的なイスラム教の国となっており、宗教の特徴・注意すべき点として、以下のような項目が挙げられます。
・豚肉とアルコールの禁止
・1日5回の礼拝
・1年に1回の断食

●ヒンドゥー教
インドやネパールに多く信仰者が見られ、大きな特徴としては以下の通りです。
・左手は不浄の手のため、握手や物の受け渡しは右手で行う
・牛は神聖な生き物で豚は不浄な生き物のため食べず、菜食主義者が多い

上記のように宗教の違いや特長を知ると、雇用後どのような点を配慮すべきか、どんな働き方が合うのかなどお互いが働きやすい環境作りができるようになります。

例えば、イスラム教の場合、 1日に5回の礼拝が必要となるため、礼拝の時間を休憩にカウントする、礼拝のスペースを作るなどの対応が必要です。

また、これは宗教にかかわらず実施いただくと良いことではありますが、勤務地や住居の近隣での外国人コミュニティを紹介してあげることも安心感に繋がります。
初めて異国の地に来た場合に、同じ国もしくは同じ宗教の方と交流できることは、日本への定着、強いては企業への定着に繋がります。

3. 長期施策(制度の変更)

外国人の方に長期的に働いてもらえるようになるには、短期的な施策を続けると同時に、経営や人材育成の仕組みを根本的に変える長期施策にも力を入れていく必要があります。
ここでは、簡単に選考時と採用後にできる施策をお伝えします。

①選考中
●採用目的や期待する役割、キャリアプランを明確に決める

外国人を採用する背景や採用後に求めることを明確にし、企業内全体で認識統一を行ってから採用活動を行うことで、求める人材に的確にアプローチできたり、雇用された側も入社後活躍するイメージがしやすくなります。
外国人採用だからといって特別な理由を用意しなくてはならないのかというとそういうことではありません。

ただし、前述の通り、キャリアに対する意識が強い外国人にとっては、「採用決定後にどのような業務に従事するのか」「どのようなキャリアプランがあるのか」「企業はどのように成長していくのか」は就職先を決定するポイントになります。
そのため、採用する背景や採用決定後に求めることを明確することにより、採用後のギャップを減らすことができ、結果的に定着に繋がります。

求人票を準備する際に盛り込むべき内容は、 「外国人採用のポイント - 求人票の書き方編 -」をご覧ください。

②採用後
●多様な働き方を歓迎した社内制度作り
コロナウイルス拡大を機に、在宅勤務など働き方は多様になりつつ有りますが、他にもフレックスタイム制や服装・髪型を自由にするなど、その人が働きやすいと感じる環境作りが大切です。

Slackなどのメッセージツールを活用し、興味や趣味を共有できるコミュニティや部活動を形成することも、帰属意識の向上とその先の定着に繋がります。

4.実際の声

最後に、弊社サービスを活用し外国人採用を行っている企業様の好事例をご紹介します。 こちらの企業様は求人情報を掲載する前に、弊社の担当者と採用したい人物像を明確にした上で採用活動を行いしたり、選考時にはハイコンテクスト・ローコンテクストを意識し、候補者に何を聞きたいのか、面接官が分かりやすく端的に伝えた結果、毎年コンスタントに内定者が出ています。
詳しくは、 「採用事例 -サイボウズ株式会社 -」を参照ください。

5.まとめ

異文化を受け入れ合い、尚且つ仕事を一緒にしていくことは、簡単なことではありません。ですが、完全に理解できなくとも、その人の見ている景色を想像し、その人の視点に立ち、互いに妥協点を見つけて歩み寄っていくことで、外国人材の定着にも繋がります。

弊社では、採用だけでなく、採用後の手続きや外国人材の定着に関するサポートも実施しております。
ご興味ございましたら、下記よりお問い合わせください。